ハロウィン記念SS「21-Two one」より
    Do you feel love?
     作者:空ーAIRー




10月の終わりにあるイベントといえば・・・ハロウィンである

元々日本にはない行事ではあったが近年、若い人たちの間で

お祭りとして楽しまれている行事の一つである



そんなハロウィンの出来事

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「♪〜♪〜」

とても上機嫌に院内で鼻歌を歌っている芹

今日はあまり知られていないがハロウィンの日であり

芹と拓哉が一緒に、初めて過ごす楽しい日でもあったのだ

「今日はどんな格好していこうかなぁ〜♪」

そんな今日のために勤務時間を早めてもらっている





あの事件以来、拓哉はこの病院の院長に就任して忙しい

日を過ごしているがそんな合間でも芹との時間を大切にしている

拓哉に、最初の方は姉さん的存在だったが、今では振り回されっぱなし

でも一日に一回は抱きしめてもらわないと元気がなくなるまでに惚れ込んで

しまっている。



そんなわけで、昼休みに食堂にきている



「今日の芹さん、なんだか嬉そうですね〜どうしたんですか?」

「わかる〜?だって今日は楽しい日なんだよ〜♪」

「今日ですか・・・あっ、ハロウィンですか!?」

「正解〜♪だって初めてなんだし」

「いいですねー、今日も院長さんに可愛がってもらえるなんて☆」

「!?か、可愛がってもらえるだなんて・・・」

湯気が立ち込めてきそうな勢いで顔を真っ赤に染める

以前の芹からは考えられないものだった。

ちなみに二人の関係は院内の関係者はみな知っており、院内公認のカップル

になっていた。無論ここの食堂の翡翠も例外ではない。

「だってそうじゃないですか〜、昨日だって見ましたよ〜♪」

「な・・・何をかな?」

「しらばっくれる気ですか?いいんですよ〜言っちゃっても♪」

「・・・・・・・!だ、だめー!!」

「え〜何をですか?」

「だ、だからね、その〜・・・」

ちなみに「昨日」のこととは・・・





宿直室にて





「ねえ拓哉」

「おう、どうした?」

「今日ね、真魚ちゃんに「お二人は幸せそうですね」って言われたんだ」

「へぇ〜」

「もう!鈍いんだから拓哉は!」

「んだよ?」

「私たちってやっぱりそう見えるのかな〜って」

「当たり前だろ?そうでなきゃこうなってないって」

「うん・・・そうだよね」

それでも多少は納得いってないと感じた拓哉はというと

「ふぅ〜・・・芹」

「え、どうした・・・きゃぁ!」

振り向き様に芹を抱きしめる

「お前はこうでもしないと納得しないからな」

「もう、ビックリしたじゃない!・・・でも、嬉しいな」

最初は硬くなっていたが安心して身体を預ける

「まったく、芹も甘えんぼうだな」

「うん・・・不思議なんだけど、拓哉と一緒になってからかなぁ〜

いっぱいっぱい触れられて欲しいっていう感情が溢れてきそう

なんだね・・・今だってドキドキだよ」

「ふぅ〜ん・・・どれどれ」

「きゃ!どこ触ってるのよ!スケベ!!」

「どこって・・・触診だよ、芹がどれだけドキドキいってるのか

診断だよ」

「そうだけど・・・」

「・・・ごめん、止まんないわ」

「・・・ここ、病院だよ?」

「関係ないよ、それにもう消灯時間過ぎてるからだれも見ないって」

「・・・」

暫くの沈黙のあと、静かに頷く

「芹・・・」

「ん・・・拓哉ぁ〜」















回想終了



「・・・」

思い出したのか、溶けてしまいそうなくらいに顔を染める

「いや〜私、あの時はびっくりしましたよ!何の音も聞こえてこない

はずの部屋から声が聞こえてくるんですから!」

「・・・・」

「まあ、私と芹さんの中なので特別見逃してあげてもいいですよ!」

「本当!!」

「・・・そのかわり」

「・・・はい?」

「今度、院長を私に貸してくださいね!」

「えっ!そ、それは・・・」

「大丈夫ですよ、別に盗ったりはしませんから♪ただお買い物に付き合って

もらうだけですからね」

「・・・じゃあ、拓哉に聞いてからでいいかな?」

「もちろん!それじゃあ返事待ってますから!」

嬉しそうに職場に戻っていく翡翠

「はぁ〜・・・」

まあ助かったと言えばそうなのであるが、あの現場を見られて

しまった以上は条件に飲むしかない、それに翡翠も別に遊ぶだけと言ってる

ことなので本気にはしていないと思っていた



「とりあえず、拓哉のところにいこうかな!」

早速いこうかという時に携帯が鳴った

「?・・・拓哉からだ」

ディスプレイを見ると霧島拓哉と書かれていた



ピッ



「もしもし?拓哉?」

「あー芹か?非常に悪いんだけど、今日どうしても外せない仕事があって

少し遅くなるんだ、だから・・・」

「・・・・うん・・・しょうがいないよ」

「悪い・・・こればっかりはどうしようもないんだ」

「わかってる・・・拓哉は院長で忙しいもんね」

「・・・」

「じゃあ、お仕事頑張って」



ピッ

携帯を切る



「・・・・」

楽しい、かつ楽しみにしていた日にこんなことになるなんて・・・

さっきまでの芹の表情から一気に絶望感に満ちた表情を浮かべる。



「・・・しょうがないもんね・・・」

とてもじゃないが今の芹にそんな状況に耐えられるはずもなく

ついには涙を浮かべる



「はは・・・ボク、暇になっちゃった」

今日はどの誘いも断ってきた芹にとって本当にすることがなく

ただ着替えて病院を出るしかなかった







途方に暮れ、何もすることがなく彷徨っているうちに商店街に着いた。

周りはハロウィンを過ごしているカップルだらけで今の芹にとって

耐えられるものではない状況であった。







「しょうがない・・・帰ろうかな」

もちろん帰るところは拓哉の家である。



「・・・あれ?」

ふと見上げると住んでいるマンションの明かりがついていた

「電気つけ忘れたかな?」

不思議に思いドアを開ける・・・

「・・・開いてる」

不思議な気持ちが一変疑惑に変わった

不信に思い部屋の中に入る

「・・・」

気配を殺して中を進んでいく芹

ふと、足元に何かがあり、それにぶつけてしまう

それを気にせずリビングへと向かう



その時

突然誰かに抱き留められる

「きゃぁーーー!!ドロボー!!」

とっさのことで反応が遅れたが持ち前の運動神経の良さを生かして

泥棒に向かっていく

「いてて!!やめ・・・やめろって!!!」

「・・・・えっ?」

信じられないという感じで泥棒を見る、それも聞いたことのある声で喋っている

のだから

「いって〜・・・俺だよ」

そういって部屋の明かりをつける

「!?拓哉?」

そう、泥棒とは拓哉のことだった

「そうだよ、じぶんの彼氏の声も忘れちまったのかと思った」

やれやれという感じ話す

「ど・・・どうして、だって、あの・・・」

未だに状況が飲みこめていない芹は唖然とした表情である

「はぁー・・・自分の携帯を見てみろよ」

「え・・・」

早速見てみると着信履歴に拓哉の名前がびっしり入っていた

「お前、中々でないもんでひょっとしたら帰ってると思ってな」

「だって・・・今日お仕事で忙しくなるって・・・」

「んなもん、すぐ終わらせてきたよ」

「・・・」

「あんな寂しそうな声されたらどうしてもいかなくちゃいけないし、

それに前から芹は楽しみにしてたもんな」

「・・・」

「ばかやろう・・・せっかくのイベントに参加しない男がどこにいるんだよ

それに最初に過ごす日なんだから仕事くらい早めてもらうのも簡単だよ」

唖然としていたが状況を飲み込むと表情を崩し、拓哉に抱きついた

「ばか!ばか!とって寂しかったんだから!!」

拓哉の胸を叩いて泣き崩れる

「わるいな・・・今日はハロウィンだろ?だからおどろかせようと

おもってな、でも仕事があったってのは本当だぞ?」

「うっ・・・ひっく・・・ばかぁ〜」

子供をあやすように頭を撫でて、泣き止むのを待つ





「大丈夫か?」

「・・・うん」

泣き止むまでずっと抱きしめていた拓哉

「あ〜あ、せっかくのハロウィン、台無しになっちまったな」

「ううん・・・本当は拓哉が居てくれればボクはそれだけでいいの」

「だって楽しみにしてたんだろ?」

「もういいの・・・・」

「そっか・・・」



そんなわけでハロウィンの日ではあるが何もしないで過ごすことになった



「そういえばね、翡翠ちゃんが拓哉のこと、借りたいんだってさ」

「へっ?俺?」

「うん、ちょっと・・・この前の現場、見られてたみたいなの」

「・・・・・・マジ?」

「うん、見逃す条件として拓哉ってことになったんだけど」

「まあ、そうだな・・・芹はいいのか?」

「え、どうして?」

「だって、さっきから物凄い形相で俺のこと睨んでるぞ」

「・・・気のせいじゃないかな?」

「いや、俺、その視線だけで殺(や)られそう・・・」

「・・・・」

「はぁー・・・いやならそんな約束するなよな」

「だって・・・あの現場は・・・」

睨んでいたと思ったら今度は俯いて顔を真っ赤にしてしまった

「別にいいじゃん、「俺たちはこんなに愛し合っています」って

堂々と言えばいいんだから」

「でも・・・恥ずかしいよ」

「だからって俺が我慢できるはずないだろ?」

「だって拓哉はケダモノだもんね・・・」

「おい・・・」(汗)

「じゃあ、とりあえず、人にいないところで・・・ね?」

「・・・・努力します」













そんなわけで、ある日のあるカップルの一日が終わった



































おまけ





「ところで、おまえに着てほしいものがあるんんだが・・」

「うん、何かな?」

「これなんだけど」

そこで取り出されたのが・・・・猫だった

「やだ!やだ!絶〜っ対着ないからね!!」

「でもな〜せっかく買ってきたんだし、着ないと勿体無いだろ?」

「そういう問題じゃない!恥ずかしいんだから!」

「お願い!これ着てくれ!」

土下座する拓哉・・・・・

「・・・・」

「頼む!」

「・・・・ふぅ〜・・・しょうがないな」



しゅる・・・しゅる・・・

「えっっ!?」

目の前で着替え始める芹

「・・・こっち見ないでよ、恥ずかしいんだからね」

「あ、ああ・・・悪い」





「いいよ・・・」



ゆっくり芹の方を向く

「・・・」

「どうかな?」

「・・・」

「ど、どっか変だった?」

「いや・・・すっげー可愛い」

「そ、そうかな?」

照れ顔で話す、本人も満更ではないようだ

「そんなわけで・・・芹」

「うん?」

「俺の餌になってくれーーーー!!!」

「え・・きゃぁ!!拓哉のえっちー!!」

「うるさい!俺はいま獣になったんだ!大人しく俺に食べられろ!」

「やだー!やだー!今日拓哉に食べられると明日の仕事が・・・」

「心配するな・・・節度は弁える」

「そういってこの前は3回も・・・」

「じゃあ今日は2回な!」

「あー・・・結局は拓哉に食べられるのね」











結局、その日は節度をわきまえて5回だったとか・・・

































今度こそ終わり(てか、終われ!